今週も読書の記録、さくっとはじめていきます。
『繭、纏う5,6』原百合子
これも書影をふたつ並べたくって貼ってしまいました。黒と白の対比が美しい。
漫画のほとんどを電子書籍に移行しているなか、数少ない紙で買い揃えている作品がまたひとつ、完結を迎えました。嬉しくも寂しいですね。
髪で作られた制服を身に纏う少女たち、しがらみに囚われていた彼女たちが学園という繭から出発する物語。書下ろしの最初の流れがとっても大好き。
ちゃんと読み返したい。
既読の読み返し。
信頼できない語り手ってやつが大好きなんですよね、これたぶんミステリ用語なんだろうけど、ミステリに関わらずすべての小説において。手紙も、書き残された小説も、さらにそのうちに描かれている作中作も。どれも一人称であるから嘘の余地がある。
何回も読み返してそのたびにいろいろ解釈が変わるんですよね。
『黒牢城』米澤穂信
米澤さんの作品は青春ミステリ方面ばかり読んでいます。
こちらが出たときには歴史ものか~……と読むのを躊躇いがありました。しかし次々に賞をとり有名になっていったので流石に、とようやく読了。
読んでみたらば非常に面白かったです。長く続く籠城戦により消耗し、心が離れていく様子を感じ取ってしまう聡明さがあったからこそ官兵衛の策は彼に通じたのでしょう。そう思うと、なんだか皮肉に感じてしまいます。
『独り舞』李琴峰
一冊読んで非常に惹かれたので過去作にも手を伸ばしてみました。
主題やらは割と以前読んだ「ポラリスが降り注ぐ夜」に近しいものも感じられました。勇気を出してカミングアウトしたのに手酷くフラれてしまうシーンが本当にしんどかった……。○○○○持ちってのが忌避されるのは知ってはいるんですけどね……。
死を近しく感じながらもそれでもそれに意味を求めるうちは。
今巻はお仕事回がかなり面白かったです。ただ修繕するだけじゃなく、なぜそう造られたかも調べていく甲羅木組のお仕事。今までの仕事とは違っていて戸惑いながらも石貫会の仲間たちの手も借りていくってのがぐっときました。
あとは古着屋回のランテツ夫妻!奥様ほんと可愛らしい方だ~~。旦那さんに抱えられてお揃いの服を見てるコマがお気に入りです。かわいい。
じわじわと読み進めてようやく三巻を読み終えました。
混迷というだけあって、改革が起こったかと思えば殺され、起こったかと思えば殺され、でしたね。スッラがこの時点ではまだ若きカエサルを殺すことを止められたときに残したという言葉はかなり印象に残りました。良くも悪くも歴史を変えるようなパワーを持つ人は同じような人を嗅ぎつけるものなのかな。
さて、次巻からはカエサルの時代だ。長くも大きな革命なのでかなり楽しみ。
『アンナ・コムネナ3』佐藤二葉
この巻で一気に大人の世界に踏み入ってしまったような感覚。
そも、子どもと大人の境界である少年・少女という存在が生まれたのが近代に入ってからだというのをどこかで学んだ覚えがあります。それに、アンナは既に結婚しているから。
それでもこの巻に至るまで子を作る話とかが出てきてなかったのが、アンナは本当に緋色の生まれではあるけれど皇帝になるとは思われないのだとちょっと感じてしまいます。それはそれとして、アンナとニケフォロス夫婦のやり取りは全部かわいい!そしておめでとうニケフォロス!これの連載版があの回だったときに盛り上がって作者さんがおまけ四コマを二つもあげてらしたの楽しかったです笑
次巻以降、アンナがどのように成長していくかが楽しみです。ローマ人の物語を一度サラっと読んだはずなのに史実のアンナがどうなっていくかをほぼ知らないので調べずに最後まで読みたいな。ローマ人の物語が追いつく可能性はある。
あ~……。
芸能界でメキメキと頭角を現していくルビー、復讐を諦めて落ち着いてきたアクア。っていう構図がしばらく続くのかと思っていたのですが、気付いてしまうのが思ったよりもかなり早い……。そしてそれに至るシーンが辛くて。アクアも、ヒロインたちも辛い思いを重ねていって読んでて心臓が痛くなりました。
そして次巻への引きもうわあ、という声しか出てこない。
以上、9冊。
楽しみにしていた漫画の新刊が多い一週間でした。